甲子園の怪物

 松井秀喜さんがヤンキースの一員として引退セレモニーを受けていたニュースを見てよかったな幸せな方だななんて思いました。そういえば彼は甲子園では怪物といわれていたよなと思い今回は甲子園の怪物といわれていた方についてのコメントです。

 甲子園の怪物といえば数々いらっしゃると思いますが、私が知っている中で最も古いのが浪速商業の故 尾崎行雄さんです。怪童といわれ快投されたそうですが、私の小さい頃でテレビの画面ではあまり記憶がありません。その後の少年誌 「少年サンデー」や「少年」で記事で書かれていたので覚えています。東映フライヤーズに入り投手をされていたのは覚えています。その後私は医者になり東京浅草橋にある柳橋病院に時々麻酔をかけに行くようになって、近くで尾崎さんがレストランを経営されていると聞いて、ああ あの尾崎さんかと思っておりました。年若くお亡くなりになり非常に残念です。

 私が鮮明に覚えているのが江川卓さんと松井秀喜さんです。江川さんについては確か私の学生時代ですが、同級生の栃木出身のやつが作新学院にものすごいピッチャーがいるといっていましたが、どんなもんかいななんておもっていました。さて春の選抜甲子園大会が始まると栃木代表でその作新 江川が出てきました。同級生のいうことが真実でした、一回戦からものすごい快投を演じ、確か今治西戦です(間違っていたらごめんなさい)7回くらいまでランナーが出ませんでした。ものすごい投手という印象でした。現在のようにスピードガンがあれば150kmの球速は出ていたのではないでしょうか。優勝すると思ったのですが、その後確か試合巧者の広島商業の巧みな戦術であるバント作戦や 連続フォアボールの後のダブルスチールでエラーがらみで失点し負けたと記憶しております。

 かたや松井秀喜さんはバットに球が当たったと思ったら 球が外野の頭の上を抜けると感じるくらい打球の速さが頭に残っています。ただ松井さんの試合は私が医者になってからなので実際多くは見ていません。有名な尽誠学園戦の5打席連続敬遠で敗退し優勝には届いていません。このようにこの怪物二人はともに優勝していないことは興味深いことです。すなわち甲子園ではスーパースターが一人いてもチーム力が備わっていなければ勝てないと言うことでしょう。

 興味深いのはこの二人のその後ではないのでしょうか、江川さんは6大学野球をしたいと言って慶応受験しましたが合格できず、法政2部に入りました。大学でも非常に活躍され日米対抗ではほとんど一人で投げていたと記憶しています。プロへの登竜門であるドラフトですが、江川さんはクラウンライター(現在のソフトバンク)から指名されたものの、どうしてもジャイアンツに行きたいということで指名を拒否しました。そして疑惑の一日として有名ですが翌年 ドラフトの前日はフリーということで読売ジャイアンツ入団が発表されました。空白の一日事件ですね。セントラルリーグより即日この契約は無効となり、ジャイアンツはこの年のドラフト会議を拒否しました。江川さんはドラフトで複数指名され阪神か契約権をえて交渉に臨みました。この問題はこじれましたが翌年1月に阪神江川とジャイアンツ小林のトレードという形で決着がつきました。これは江川さんのどうしてもジャイアンツに入りたいという気持ちと、いい選手であれば金に糸目をつけず、なりふり構わずに獲得するというジャイアンツの姿勢が一致した結果といえるでしょう。後味のよいものではありませんでした。ジャイアンツに入った後はそれなりに活躍はされましたが、いぜんの怪物のようなすごみはなかったと記憶しております。聞いた話ですが彼は大学時代に肩を壊していてプロに入った後は全盛期のような投球はできなかったそうです。引退後はテレビの画面でご活躍されております。

 かたや松井さんです。彼は根っからの阪神フアンでしたが、ドラフトでジャイアンツが獲得権を得ました。松井さんは最初から阪神フアンであるがプロとして職業で野球をするのであるのあだからどの球団から指名されても行きますと公言していました。その結果ジャイアンツに入りましたが、ジャイアンツに入ってよかったなと思っています。彼の引退後の談話を聞いているとジャイアンツに入って長島さんとの出会いが彼の人生を決めたのではないでしょうか。長島さんから指導された切磋琢磨で すばらしい打者に成り(もちろん自力があったのは当然ですが)、大リーグに入っても大活躍されました。ヤンキースの一員としてワールドシリーズのMVP獲得 野球をするものにとってこれ以上のあこがれはないのではないかと思います。冒頭に戻りますがこのような人格と成績が兼ねそろった松井さんですからヤンキース退団後複数の球団に属して引退した彼をヤンキースガ一日マイナー契約して引退セレモニーを行ったのでしょう。アメリカは何事にもビジネスライクで行うものだと思っていましたが、ビジネスが関与しないところにはこのような心温かいことすることを見まして、やはり人間の社会というものはどこも変わりないなと感じたイベントでした。

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