主な神経ブロックの説明


主な神経ブロックの説明

1. 星状神経節ブロック

illustration_02
星状神経節ブロックとは、頚部にある交感神経(星状神経節)の働きを局所麻酔薬により遮断(ブロック)する治療法です。
このブロックにより、ブロックした側の顔面、頭部、頚部、上肢の血管が拡がって血液の循環が良くなり、傷んでいる組織の自然治癒を促進します。また痛みのある患者様では、交感神経が緊張して発痛物質が産生されやすい状況になっているため交感神経を遮断することで痛みの悪循環が改善される可能性があります。したがって星状神経節ブロックで血流改善による局所の自然治癒力の増強と痛み物質の洗い流しの二つの効果が期待できます。
※治療対象となる症状および疾患
頭や顔の痛み、頸・肩・腕・手の痛み、肩こり、腕や手の循環障害(バージャー病、動脈硬化症、膠原病などによるもの)、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛(顔、頸、上肢)、顔面神経麻痺、突発性難聴、網膜中心動脈閉塞症

2. 硬膜外ブロック

illustration_03
硬膜外ブロックとは、背骨の中にある硬膜外腔という部位に主に局所麻酔薬を注入する治療法です。硬膜外腔に注入された局所麻酔薬は脊髄神経に浸みて行くことで、痛みをやわらげ、血液の流れを良くする効果を発揮します。
硬膜外ブロックは腕・胸、背、腹、腰、足とほとんどの部位の痛みに対して用いることができ、多くの病気が治療対象になります。

3. 神経根ブロック

神経根ブロックとは、レントゲンの透視下で痛みの原因と考えられるそれぞれの神経の根元(神経が脊髄から分かれたすぐのところ、すなわち神経根)にブロック針を誘導して局所麻酔薬や炎症をとる副腎皮質ステロイド薬を注入する方法です。局所麻酔薬でのブロックが一時的な効果しかないときは必要に応じて パルス高周波療法を行います。
治療対象となる疾患
脊柱疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、脊椎すべり症等、神経障害性疼痛:外傷(神経損傷)後の疼痛、帯状疱疹後神経痛、術後痛 等癌の痛み等

4. 高周波熱凝固療法・パルス高周波療法

痛みの原因となる神経に局所麻酔薬による一般的な神経ブロックで一時的な効果しか得られない場合長時間にわたって神経をブロックする方法です。これには特殊な針と機械を使用いたします(写真)。この方法の多くはレントゲンの透視下で痛みを発している神経に針を直接当てて行います。

高周波熱凝固法
img_04高周波熱凝固療法は針先に高熱(70度~90度)を発生させて神経を焼却し、神経の伝道を遮断いたします。これにより針先の直径4mmほどの球状組織が焼却されます。右の写真は卵白による高周波熱凝固の実験です。針先の白い球状の部分が熱により凝固した卵白です。したがって針先に神経があればこのように焼却されます。このように焼却された神経は通常数か月から数年で再生いたしますので、痛みが再燃してきます。この方法は運動麻痺を引き起こす可能性がありますので、手足の動きに関係のない神経や、感覚神経のみに用いられます。多くは三叉神経痛における三叉神経や椎間関節痛における脊椎神経後枝内側枝に適用されます。(下記参照)

腰・背部の痛みや後頚部の痛みの原因の一つに椎間関節(背骨の関節)由来の痛みがあります。この治療として原因となる椎間関節に分布する神経である脊椎神経後枝内側枝を高周波熱凝固する治療法をファセットサーモと呼んでいます。右の図は腰部のファセットサーモの図です。腰部の神経根(黄色:下肢の感覚や運動に関係します)から分かれた後枝内側枝(ピンク:椎間関節の感覚に関係します)にブロック針が当たっています。このように後枝内側枝が高周波熱凝固による熱で遮断されても神経根は影響を受けないので下肢の感覚や運動は障害されずに椎間関節のみの痛みが取れます。

ファセットサーモ

パルス高周波療法
パルス高周波療法は針先の温度を42度以下に保って、熱による神経損傷なく高電圧でパルス状に高周波を神経に与える方法です。高周波熱凝固法と異なり熱による神経の損傷が有りません。これですと神経の運動機能には影響がなくしびれも生じずに長期間痛みのみが緩和されます。従って手足の痛みに関係した神経への施行が可能となります。また神経が障害された痛みにも効果があるという報告もあります。
戻る