帯状疱疹の痛み

帯状疱疹

帯状疱疹の痛みとは水痘・帯状疱疹ウィルスによる神経の痛みです。
最初にこのウィルスに感染すると、みずぼうそうになります。みずぼうそうが治ってもウィルスは人間の体の神経の中に居続けます。
宿主である人間が風邪を引いたり、疲れがたまったりして調子を悪くしたときにウィルスが勢いづきます。そしてウィルスは神経を伝い皮膚まで出てきて発疹を作ります。このときに神経に炎症が起きて痛みが出ます。これが帯状疱疹の最初の痛みです。

発症初期に体が痛みますが、発疹が出た時点で医師は帯状疱疹と診断できますので、抗ウィルス薬を投与します。これでウィルスは退散し帯状疱疹は治ります。
しかしその後痛みが続いたり、またいったん痛みが無くなったあと新しく痛みが出てくることが有ります。これが帯状疱疹の後の痛みです。
このように帯状疱疹の痛みには 2 種類有ります。
一つは発疹ができるときにウィルスがおこした神経の炎症による痛みで「ずきずき」と痛みます。
もう一つは炎症が落ち着いた後の傷ついた神経つまり神経の障害による痛みです。
これは帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)と呼ばれております。この痛みは皮膚がひりひり、ぴりぴりと火傷の痕のように傷みます。時折電気が走るような「ずきん」とした痛みが来ることも有ります。痛く感じる皮膚に触れてみますと感覚が鈍っていることがわかりますが、衣服が衣擦れなどで痛みを感じます。皮膚の感覚が鈍っているのに痛いという不思議な現象です。これは神経の障害による痛みの特徴です。ウィルスの力が強いと帯状疱疹の痛みが非常に強くなり、発疹が重症になります。
また免疫力の弱い高齢者ではウィルスの力が強くなります。こうした場合は神経障害が強くなり帯状疱疹後神経痛になりやすくなります。
帯状疱疹神経痛にならないためには発症初期から抗ウィルス薬による治療と適切な痛みの管理が必要です。痛みが強い場合は神経ブロック療法が必要です。
また帯状疱疹後神経痛になった場合はプレガバリン(リリカ)、ミロガバリン(タリージェ)というお薬や神経障害の痛みに効果的な抗うつ薬が処方されます。そしてこれに加えて神経ブロック療法が必要です。

こうした治療を行っても神経障害が強い場合には痛みが残る場合が有りますが、発症初期より適切な治療を行うことにより痛みの程度を軽くできると考えられます。
一方この痛みを長く放置してしまいますと非常にやっかいな痛みとなります。この場合神経ブロック療法の効果はあまり期待できません。
痛みの具合に合わせた薬物治療が主体となりますが、麻薬を使用せざるを得ない様な強い痛みになる場合も有り、ひどいときには何年も痛みが続きます。
こうした痛みにならないためには発症初期からの適切な治療が大切です。

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