坐骨神経痛とは

坐骨神経痛について

坐骨神経痛とは

坐骨神経は腰部の脊髄から出た神経が骨盤内で合体してそれがお尻のほうから大腿の裏側の方に出てきます。そこから膝下に向かって走り足の指先まで達する非常に長い神経です。この神経がさまざまな原因により障害(圧迫や刺激)を受けると坐骨神経痛が起きます。

坐骨神経痛の原因


原因はほとんどが背骨の中の病変です。若い方の場合は腰椎椎間板ヘルニアによるものが多く、高齢の方で腰部脊柱管狭窄症によるものが多数を占めます。脊椎(背骨)の中で脊髄が入っている場所を脊柱管(図1の赤い点線で囲った部分)と呼びます。腰部脊柱間狭窄症とは加齢による腰椎のすべり症を始めとした変形やその他の原因によって脊柱管が狭くなることを言います。
図1)では正常の腰椎の横断の絵とMRI画像を示します。
図2)は同じく正常の腰椎の縦断の絵とMRIです。
図3)は椎間板ヘルニアの絵とMRIを示します。
椎間板ヘルニアとは椎間板が正常の部位から外に飛び出すことです。この飛び出た椎間板により脊髄から出た神経(根)が圧迫をうけ坐骨神経痛が起こります。
図4)は腰椎すべり症のMRI画像です。

すべり症とは背骨が正常な位置からずれることです。すべり症により脊柱管狭窄となり、脊髄から出た神経(根)が圧迫を受け坐骨神経痛が起こります。また梨状筋症候群のように骨盤内で坐骨神経が筋肉により圧迫を受けて起きる場合や腫瘍などによる圧迫でも起きてきますが頻度は高くはありません。

症状はお尻から太ももの裏・外側、すね、ふくらはぎや足の痛みやしびれ・締め付け感です。この症状は全体的に出ることもありますが一部の場所だけに感じる場合もあります。

坐骨神経痛の治療

主な治療法は理学療法(運動療法・温熱療法・電気刺激療法)、薬物療法、神経ブロック療法、外科的治療法になります。当院では坐骨神経痛に対しては神経ブロック療法を中心としてこれに理学療法と薬物療法を適切に加えております。
治療法に関しましては当院のホームページ中の項目で「ペインクリニックとは」の中にある「治療法について」もご参照下さい。

神経ブロック療法

神経ブロック療法は当院の治療の中心であります。坐骨神経痛と診断されて、痛みが強い場合はまず腰部硬膜外ブロックを行います。一回で痛みが軽減しない場合は今後の治療のためと原因の精査のために腰椎のMRIを行い、痛んでいる神経の部位診断を行います。痛みが継続する場合は痛んでいる神経を直接ブロックする神経根ブロックを行います。神経根ブロックが一時的な効果である時はパルス高周波療法による神経根のブロックを行います。(パルス高周波療法は現在当院では行っておりません。)

電気刺激療法

当院の電気刺激療法にはTENS、SSPの二種類があります。TENSは脊髄と疼痛部位を同時に電気刺激します。脊髄刺激により痛み刺激が脊髄に入って脳の方に伝達されることを制御し、疼痛部位では刺激により筋肉を緩めたり、循環をよくしたりして痛みを取ります。SSPは刺激により中国針に類似した効果を発生します。これに温熱療法として患部にホットパックを行っております。またご自身で行えるストレッチの方法を指導しております。

●薬物療法は以下の薬剤を適切に使用致します
1.非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID):ロキソニン等とアセトアミノフェン
2.神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン:リリカ、ミロガバリン:タリージェ)
3.オピオイド(トラマール、ノルスパンテープ等)
上記に加え循環を改善する薬、抗うつ薬、筋緊張を緩める薬も必要に応じて使用します。

●外科的治療を行う場合は以下の場合です
1.神経ブロック療法の効果があまりないとき
2.障害が強く筋力麻痺が強い時
3.膀胱や直腸の障害を併発しているとき

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